スポーツ料理研究家・村野明子さんの思ひでごはん~夏の思い出と、自画自賛した素麺アレンジ~
2023.08.29
はい、暑いです。
子供の頃は無邪気に「暑いと言ったら負け〜!」などと暑ささえも遊びの道具にして楽しんでいましたが、大人になった今はそんな余裕はなく、「負けて上等!」と開き直って暑い、暑いと呟いています。
とはいえ、この暑い夏だからこそ体感できることもたくさんあります。海、プール、スイカ割り…浴衣を着て、夏祭りや花火を楽しむなんてことも、夏ならではの楽しみの1つではないでしょうか。
ヴィッセル神戸の寮母をしていた時代は、夏休みといえば『バーベキュー』が一大イベントでした。
少し暑さがマシになった夕方くらいから、まずはユースチーム所属の寮生が総出で寮の周りや庭に生い茂った草むしりをスタート。顔を真っ赤にしながら頑張ったあとには、熱を上げた体温を下げるのと、お庭に水を撒くという一石二鳥の効果を狙って、水鉄砲遊びでキャッキャとはしゃぎ汗を流します。
100円均一で大量購入しておいた子供用の水鉄砲を選手に一人一つ、渡したら戦いがスタート。
私たちスタッフは、70リットルくらい入る大きなゴミ箱にたくさん水を入れた給水ゾーンを基地にして、選手が水鉄砲に給水にくるたびゴミ箱の影からひたすらホースで攻撃します。…と
小学生か!
とツッコミを入れられそうな遊びですが(笑)、これがやたらと盛り上がる!毎年の恒例行事であるにもかかわらず、なぜか最後は決まってチームプレーが得意な彼らに束になって攻撃され、私がバケツで水を浴びたように全身、ずぶ濡れになって敗北感を味わうというオチ。
だけど濡れた洋服も、落武者のようになった髪も気にならないくらい、夏の暑さとバーベキュー用の火であっという間に乾くので気にしない、気にしない。そのままの姿で、雑草が刈り取られ、適度に水が撒かれて美しくなった庭で、いよいよバーベキューが始まります。
スタッフの家族にも声をかけ、なんなら寮から巣立ったトップチームの選手も奥様や子供を連れて飛び入り参加してくれるので、総勢40人くらいでしょうか。スーパーで売っていたお肉を全部、買い占めちゃったんじゃないか、ってくらい、信じられない量のお肉や野菜を焼いて、焼いて、焼きまくります。
バーベキューが終われば、こちらも恒例の花火大会とスイカ割り。
散々騒いで、大笑いしてアイスを食べてクールダウンし、片付けを始め、庭に出していた椅子の足をみんなで拭いて食堂に戻して終わり…とはいかず、一息ついたらよくわからない一発芸大会が始まります。
そんな彼らの楽しそうな様子を見ながら大きなお鍋でお湯を沸かし、素麺を茹で、氷をたくさん入れて冷やしたら、寿司桶に入れてテーブルにドーン!
途端にみんながテーブルの周りに輪を作り、シメの素麺を楽しみます。
この時は流石に、冷たい出汁だけでいただくシンプルな素麺ですが、これがまぁ、いつもの5倍増しで美味しいこと! みんなで、ちゅるちゅる、ずるずる、ずずずっ〜と食べて、お腹も心も落ち着かせて一大イベントが終わります。いやぁ、夏って素晴らしい。そんな気持ちにさせられる夏の思い出です。
もっとも、中には「もうお腹いっぱいで食べられない!」という選手もいたりして、大量に茹でた素麺が想定外に残ってしまうことも。そんな時は翌日の一品に様変わり。素麺は何かと使い勝手がいいので、お味噌汁やお吸い物に入れてにゅうめんにすることもありますし、それ以外にもいろんなアレンジができます。
個人的に好きなのは、出汁を火にかけ、茗荷と油揚げ、紫蘇を入れて煮立たせて、卵でとじた『つけ汁』に、やや延びてしまった冷たい麺をつけて食べること。あるいは、前日の残り素麺は、茹でたての時より延びてしまっていることが多いので、それが気になるなら全く別のものに様変わりさせるのもアリだと思います。
私がよく作るのは、今回のレシピで紹介した素麺ピザ!
温めたフライパンにシュレッドチーズを敷いて、その上に素麺を載せます。味付けは、少し変わり種なら、市販のチリソースが合いますし、甘めの味が好みなら、トンカツソースでお好み焼き風にしてもOK。食べ盛りの子供には、素麺の上に小さくカットしたハムや玉ねぎ、ピーマン、トマト、マッシュルームなど、お好みでトッピングを! さらにシュレッドチーズを載せて両面をカリッと焼けば、よりボリューミーな素麺ピザが出来上がります。
この素麺ピザは鉄板焼き屋さんで食べた料理に味付けのヒントを得て、思いつきで作ったのですが、初めて試食した時は、我ながらその美味しさに驚いたのを覚えています。つまりはかなりの自信作なので、皆さんもぜひ、騙されたと思って作ってみてください。あの、ちゅるちゅる、ずずずっと食べていた素麺の概念が変わるかも知れません!
ー村野明子さんの思ひでレシピ

チーズをそうめんからはみ出すくらい広げてパリパリにするのがポイントです。
詳しいレシピはこちら▼
レシピ詳細 | チーズたっぷり素麺ピザ | Rokko Butter Co.,Ltd. (qbb.co.jp)
<柴田麗/管理栄養士からのアドバイス>
●夏場に麺類を食べるときは。
暑い夏場は、おかず(肉・魚・卵・大豆製品)や野菜類などを避けて、喉ごしがいい麺類を選びがちです。ですが、炭水化物(糖質)に偏り過ぎてしまうと、たんぱく質やビタミン・ミネラルが不足し続け、必要な栄養素が十分にとれず夏の疲れにつながってしまいます。麺類をいただくときは、できるだけ具材をたくさん乗せて食べるように心がけましょう。
●水分摂取の大切さ。
人は、1日に約2.5Lの水分収支が発生していると言われています(個人差はあります)。水分摂取というと飲み物からと想像しがちですが、食事からも水分を1日に800ml程度摂取しています。そのため熱中症予防では、朝ごはんを食べることも大切なポイントとしてあげられます。特に汁物(味噌知るやスープ)をメニューに加えると水分、塩分が同時に摂取できます。