スポーツ料理研究家・村野明子さんの思ひでごはん~ピンク色の魔法~
2023.06.29
料理はせっかく美味しくできたのに、プレートに盛り付けてみたら茶色い料理ばかりでどんよりしていた、なんて経験はありませんか?
私のように料理を作るのが仕事でも、実はそんなことは多々あります。
考え事をしていて野菜ひとつ切るのにさえ時間がかかったり、いつもなら手際よくサクサクできることが、全く進まなかったり。気分が乗らない時は作る工程もスムーズにいかないし、出来上がってみたら「なんだかまとまりがないな」と思うことも。
世のお母さんたちもきっと、ご自身の体調が悪い時、心配事や考えなきゃいけないことがあって料理のことまで考えが及ばない時、子供がまだ小さくて目が離せず料理に集中できない時などに似たような経験をされたことがあるんじゃないかと思います。
せめてもの彩りになればと、トマトや野菜を添えてみても、どこかパッとしないというか…。
「栄養バランスとしては悪くないから今日はこれでいいか〜」
と出そうものなら、子供たちにアッサリ「なんか、茶いろっ」「地味!」とツッコまれ、負けた気分になったこともありました(笑)。
そんなふうに、その時の体調や気持ちの揺れが料理に出てしまわないように、私が頼りにしているのがピンクの食材たちです。

レッドキャベツに、レッドオニオン、柴漬け、紅生姜、赤かぶ、桜でんぷ…。スーパーに買物に出掛けたら、味や、組み合わせのことは気にせずに『ピンク』に目を光らせてカゴに入れていきます。
なぜなら、お皿にピンク色の食材が加わるだけでふわ〜っと温かみが増して、自分好みのプレートに仕上がるから。今風に言うなら『映える!』的な?!
もし、ピンク色の食材がなければ、オレンジのニンジンや、黄色のカボチャやさつまいもなど、なんでもいいから暖色系の食材を料理に加えてみてください。そぼろ丼を作る時に、卵とひき肉だけではなく、桜でんぷを加えてみるとか。
りんごと白菜、クリームチーズ、ナッツのサラダにビーツもプラスして市販のイタリアンドレッシングで和えるとか。適当な大きさにカットした水菜に鯖のほぐし身とガリを刻んで和えるのも◎。いつもとは違う乙な味のサラダになります。
今回、レシピで紹介した"生ハムチーズおにぎり"も、生ハムの優しいピンク色が、お皿を華やかに彩ってくれる一品。
しそふりかけを混ぜ合わせたご飯で、チーズボール「包み」を具材に一口サイズの小さな丸いおにぎりを作ったら、生ハムでくるっと巻いてお皿の上に。すると、なんてことでしょう!
いかにもインスタ映えしそうな、オシャレなおにぎりの出来上がり☆
ちなみに、この柴漬けは私が料理によく使う食材の1つ。

というのも、私は
基本的に柴漬けやガリ、たくわんや高菜といった漬物を、味付け用の『塩』と捉えているから。
「塩で味を締めたいな〜」とか「野菜のバラバラ感をどうにかまとめたいな〜」って時もよく漬物を登場させます。
中でも柴漬けは色も鮮やかだし、カリカリした食感もアクセントになるし、何よりツウっぽくて「どうだ!」と誇らしげな気分になれるので(笑)、冷蔵庫には必ず常備しています。
この時期、お手軽に手に入れられて栄養価が高い小松菜やほうれん草でおひたしを作る際も、サッと茹でてカットした野菜に刻んだ柴漬けやビーツ、鰹節をふりかけ、麺つゆで和えれば、見た目も華やかなおひたしに早変わり。小松菜やほうれん草が苦手な子供も、見た目の「これは単なるおひたしではなさそうだぞ」感につられて、箸が伸びることも多いです。
もちろん『塩』代わりということではなくても、生姜焼きのタレにピンクの柴漬けを刻んで入れただけで、なんだか茶色くて機嫌の悪そうだった生姜焼きが、着飾って楽しそうな生姜焼きになったわ、なんてことも。全身、真っ黒なお洋服にピンクのバックを持つ、みたいな「映え」感を楽しめます。
ちなみに、見た目の『映え』感を求めたい時には、ピンク色の魔法をかけるとして、味の物足りなさを補うときに重宝するのが、ナンプラーとオイスターソース。それぞれに主張のある調味料ですが、和食、洋食を問わずに意外と何にでも馴染むので「味がシャキッとしないな〜」とか、味にコクや奥行き、深みを出したい時には味付けの足しにします。
すると、またまた、なんてことでしょう!
あっという間にお店で食べたことがあるような本格的な味になって食卓で「美味しい!」が飛び交います。 なので、ぜひ一家に一台…いや、1ナン、1オイを(笑)!
ー村野さんの思ひでレシピー

意外に思われるかもしれませんが、チーズボール「包み」としそごはん、生ハムの相性も抜群です。盛り付けたあと、お皿に添えた柴漬けとオリーブオイルをつけて食べれば、よりまろやかな味ともっちりした食感を楽しめます。
詳細レシピはこちら▼
レシピ詳細 | 生ハムおにぎり | Rokko Butter Co.,Ltd. (qbb.co.jp)
【柴田麗/管理栄養士からのアドバイス】
●ビーツ
ビーツはカリウム、葉酸などを多く含む、栄養価が高い西洋野菜です。ビーツの赤色の色素はポリフェノール類の一種で高い抗酸化作用があり、様々なストレスからカラダを守ってくれます。ビーツには硝酸塩も多く含まれているため、ビーツジュースを継続的に摂取することでスポーツパフォーマンスの向上にも繋がると期待されています。
●小松菜
小松菜には、成長期に強化したいカルシウムが豊富に含まれています(170mg/100g)。乳製品が苦手、またはアレルギーがあって摂取できない方にとっては大切なカルシウム供給源のひとつです。加えて、鉄も豊富に含まれていますので貧血予防のために摂り入れるのも良いでしょう(2.8mg/100g)。汗を多くかくと水分と共にミネラルも失われますので、これからの季節に活躍できる葉野菜です。

