スポーツ料理研究家・村野明子さんの思ひでごはん~必殺技『かけるメニュー』~

2023.05.17

新しい職場、学校で始まった新生活も1ヶ月が過ぎました。

友達を作ったり、新しい仕事を覚えたり、新たな生活リズムに適応したり、と慣れない毎日に身も心もクタクタだ、なんて方も多いのではないでしょうか。

「食べる時間があったら、少しでも早く眠りたい」
中にはそんな人もいるかもしれません。

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かくいう私も、かなりのクタクタ状態。

新たな取り組みを始めたり、新しい仲間と働き始めることは楽しくも、刺激的でもあるのですが、その反面、自分でも気づかないうちに、いつも以上に気持ちが張り詰めていたのか?
いらぬ気遣いをしていたのか?
4月の疲れはなんだか他の月とはまた少し違う種類のような気がしています。

私の場合、「疲れているからこそしっかり食べたい」と思う派なので、食べることを諦めて睡眠を優先することはないですが、一方で

「料理する気分になれないなー」

「誰か作って〜」から始まって、

「Uber Eatsカモーン!」と思うことはしばしば。

といっても、いまだにスマートフォンを使いこなせない私は、Uber Eatsは妄想でしか利用したことがないため(笑)、冷蔵庫に冷凍してある野菜やお肉をお鍋にぶっ込んで煮立たせ、だけど、ちゃっかり最後にはうどんを入れて食べて寝るというのがお決まりの手抜き料理。

家族分の食事なら、それでなんとかなりますし、それすら気分じゃないという時は外食に出かけることもあります。ただし、仕事となれば話は別。たとえ『料理ブルー』な日でも、150人前後の子供たちへの食事をUber Eatsに頼るわけにはいかず、自分を奮い立たせて重い腰を上げるしかありません。
 

そんな時の必殺技が『かけるメニュー』。

カレーライスや中華丼など、とにかく手間ひまかけずに作れて、提供しやすく、手軽にお腹がいっぱいになる料理で乗り切ります。感覚的には、冷蔵庫にどんな食材があるのかを確認し、切って、炒めて、味付けして、ド〜ンとかけちゃえ! 的な(笑)。

まずは、味の中心になる食材を確かめ、例えば、牛肉があるからカレーライスかハヤシライスにしよう、豚肉しかないなら中華丼か名の知れぬ洋風丼にしてみよう、みたいな感じでメニューを決めていきます。

ここで大事なポイントは、この料理はこうあるべき、こうやって作らなきゃいけない的な先入観をなくすこと。

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例えばカレーライスと聞くと「牛肉、じゃがいも、玉ねぎ、ニンジンよね」と連想しがちですが、「この具材がなければできない!」という思考でいると料理のレパートリーを狭めてしまうし、何より、買い物に行く手間が出てきてしまって、せっかくのやる気が半減、なんてことにもなりかねません。

 

実際、私の料理は常に『冷蔵庫にある食材で作る』が基本。
季節に応じて白菜や大根が安くて美味しい時期は、それでカレーを作ることもありますし、冷蔵庫に使い残しの野菜の切れ端が増えたなと感じた時は、まとめてお鍋に投入して煮込み、カレー風味で味付けしたものをご飯の上にかけ、これがカレーライスだ!と出すこともあります。

仮に子供たちが「え?カレーなのに、じゃがいもが入っていないんじゃない?」的な訝しげな目を向けてきても、決して怯まずに。「これは、白菜大根カレーだよ!」ともっともな名前で出すか、もう少し格好良く誤魔化したければ、厚揚げか油揚げも投入して「和風カレー」だと言い切ります。
そうすれば「世の中にはいろんなカレーがあるんだな」ということで丸く収まり、カレーもきれいに平らげられます。

これは、調味料にも言えること。
麻婆豆腐を作ろうと思っていたのに、いざ作り始めたら豆板醤がないことに気がついてラー油で代用したら、いつもとは少し風味の違う麻婆豆腐ができた、なんてこともしばしば。少々、麻婆豆腐からは離れた味になることもありますが、その程度の誤差は気にしません(笑)。というのも、そのおかげで新しい味を発見したり、新メニューが誕生することもあるからです。

「これで、あの味の代用ができるんだ! 私はもしや天才かも!」

そんなふうに一人、いい気分になって疲れが吹っ飛び、料理を作る意欲が湧いてきた、なんてこともあります。

今回レシピで紹介した『塩麻婆チーズ丼』も実は「もっと簡単に麻婆豆腐を作れないかな?」ってところから誕生したメニュー。

豚バラ肉やひき肉、白菜やネギなど、中華丼に合いそうな具材を集めて炒めたら、味付けは粉末の鶏ガラだしだけ。ご飯の上にどかっとかけて仕上げにラー油をかけたら…あら不思議!麻婆豆腐を思い出す、新しい丼が完成しました。

見かけの迫力からも、手を抜いたのがバレないどころか「今日は豪華だな!」とさえ思わせてしまう魔法の一品なので、ぜひお試しください。

 

ー村野明子さんの思ひでレシピ

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育ち盛りの小学生、中学生にはカルシウムをしっかり摂取してもらいたいので、熱々具材の上にチーズをトッピングしてラー油を回しかけるのも◎。

ちなみに、中華丼に合いそうな具材、と書きましたが、実は中華丼は意外とどんな野菜でもマッチするので、冷蔵庫の食材を無駄なく使い切りたい時にも便利なメニュー。そして何より、手間がかからず、栄養をしっかり摂れるのも嬉しいポイント。

詳細レシピはこちら▼
レシピ詳細 | 塩麻婆豆腐 | Rokko Butter Co.,Ltd. (qbb.co.jp)

【柴田麗/管理栄養士からのアドバイス】

●カレー
カレーは主食(ごはん、パン、ナンなど)、おかず(肉、シーフード、豆など)、野菜を使うため、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなど主要な栄養素を全て摂ることができます。市販のカレールーには比較的脂質が多く含まれています。脂質量が気になる場合は、食材を低脂質の部位にする、カレー粉などスパイスで仕上げたカレーにするなどの工夫をして抑えましょう。

 

●野菜
野菜を色の濃い野菜(緑黄色野菜)と色の薄い野菜(単色野菜)に分類すると、前者の方が栄養価は高いです(主にビタミン、ミネラル)。ブロッコリー、トマト、ほうれん草、小松菜、人参などがあります。「旬」の野菜は安価で手に入りやすく栄養価も高いので、旬の野菜の中から緑黄色野菜を優先的に取り入れると手軽に栄養補給ができます。

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