スポーツ料理研究家・村野明子さんの思ひでごはん~いいんです、美味しいなら。~

2024.08.1

「これを作ろうと思っていたのに、出来上がってみたらなんだか違ってた!」

「それっぽく見えなくもないけど、なんか違うからメニュー名を変えちゃえ!」

 料理をしているとしょっちゅう、そんなアクシデントに出くわします。いや、もはや日常茶飯事すぎてアクシデントとすら思っていないため、最近は「料理って、そういうことあるよねー」と、余裕を装うのが得意になりました(笑)。そして大抵の場合、料理は「美味しい」ということで解決します。

「なんか、思っていたのと違うけど、美味しいからいっか」

「前に食べたのとは少し違う気がするけど、これも美味しいよね」

 考えてみれば、料理には決まった型がなく、どんな手順で作ろうと、どんな見た目になろうと「美味しい」に行きつけば正解になってくれるから、私は料理を楽しいと思うのかもしれません。

と、したり顔で語ったのは、今回シュウマイを作ろうとして、シュウマイにならなかったから。(ごめんなさい!)。気がついたらシュウマイの皮が溶けちゃってしまっているという敗北感の中で浮かんだ考えを言葉にしてみました。なので負け惜しみのようでいて、ちゃんと私の本心です。

実際、私の料理は、これまでたくさんの「美味しい!」の言葉に救われてきました。なんだかちょっと見た目が悪くても、映え感に欠けても、全体的に茶色くなっても、その魔法の言葉のおかげで、どれも正解にしてもらえたから頑張ってくることができた気もします(みんな、ありがとう!)。と同時に、その言葉に勇気をもらって「明日も頑張ろう」と思えたり、新しい料理を編み出せたことも多々あります。そのくらい「美味しい!」という言葉にはでっかいパワーがあるのです。なので、食する側の方はぜひ「美味しい」ことを当たり前と思わず、きちんと口にして伝えてあげてください。きっと翌日、食卓に並ぶ料理がもっと輝いていることでしょう!

 前置きが…いや、言い訳が長くなりましたが、先に白状した通り、今回はシュウマイを作るはずが、作ったタネが大きすぎて皮が肉を捕まえきれないというアクシデントに遭遇し、急遽、作り方を変更してたどり着いた『スチームミートボール』をご紹介します。

 そもそも、なぜそんなにタネが大きくなってしまったのかの説明を。仕事柄たくさんの量を一度に作らなければいけないため、私はよくいろんなシーンでズボラをします。例えば、シュウマイも1つ1つタネを皮で包んで、グリーンピースをちょこんと乗せて、小さく可愛い、いかにもなシュウマイを作れないこともないですが、そんな丁寧に作っていたら到底、必要な個数に辿り着きません。と言うこともあって、シュウマイの場合は一つ、100〜130グラムくらい、ハンバークくらいのサイズの形にし、大きめの皮2枚で挟むような形にして、蒸してお皿に乗せ「自分のお箸で小さく区切って食べてね!」と言って出します。これで、見た目はやや謎めいた雰囲気を醸し出しながら、食べたらちゃっかりシュウマイだった! 的な料理が出来上がります。

 

今回のスチームミートボールもまさに、そんな一品。タネの作り方はシュウマイとほぼ変わりません。今回はパプリカ、生姜、玉ねぎをみじん切りにして、アーモンド入りベビーチーズも小さく刻んでタネに混ぜ込んでいますが、冷蔵庫に余っている食材があるのなら一緒に刻んで混ぜちゃってください。今の時期に出回るパプリカやゴーヤなどの夏野菜も、免疫力アップにもつながるビタミン類が豊富に含まれているので栄養面的にもいいと思います。豚ひき肉を、鳥もも肉との合い挽きにするとか、そこに豆腐を潰して一緒にこねればカサ増しにもなるし、よりヘルシー感も漂います。

ポイントは、挽肉等、他の材料と混ぜ合わせるときに、しっかりと粘り気が出るくらいまでよく捏ねること。そうすれば肉肉しさが薄れて、柔らかく、ふわっとした食感を楽しめます。蒸すことによって余分な脂を落とせるのも理想的。アスリートやカロリーが気になる方にはもってこいの一品でもあります。

 食べ方はお好みで大丈夫ですが、レシピのように、和からしと醤油でいただくもよし、食欲が落ちがちな暑い夏場はポン酢で食べるとあっさりといただけて喉を通りやすいんじゃないかと思います。暑い夏が終わって、秋野菜が出回る時期には大根おろしをかけるとか、タネにきのこ類を混ぜてもいいかもしれません。兎にも角にも、その時々で冷蔵庫にあるお野菜たちを刻んで、こねこねし、蒸してしまえば、それはもう立派な自家製シュウマイ、自家製スチームボールの出来上がりです!

 余談ですが、私の中で『挽き肉』は本当に化ける要素が多い、信頼のおける食材です(笑)。こねて丸めればハンバーグやシュウマイ、餃子になるし、キーマカレーやガパオライスを作ろうと思えば、フライパンで炒めればいい。ピーマンの肉詰めのように『詰め物』としても使いやすいし、甘辛く煮込んじゃえば、そぼろご飯やレタス巻きなども楽しめます。それもあって『挽き肉』をどう調理すれば、新しい料理を生み出せるかを考えるのは最近の、マイブーム。皆さんもぜひ、『挽き肉』を使った変化球メニューを生み出してください!

ー村野明子さんの思ひでレシピ

ごろごろ野菜とチーズのスチームミートボール



ゴロゴロ野菜とアーモンド入りベビーチーズの食感が楽しめる満足感のある1品です。春巻きの皮やぎょうざの皮で包み、揚げ焼きにするのもおすすめです。
詳しいレシピはこちら▼
レシピ詳細 | ごろごろ野菜とチーズのスチームミートボール | Rokko Butter Co.,Ltd. (qbb.co.jp)

<柴田麗/管理栄養士からのアドバイス>

●栄養価の高い夏野菜は夏の紫外線対策にも。

一般的に旬が夏の野菜は「夏野菜」と呼ばれています。夏野菜には、トマト、ピーマン、ゴーヤ、カボチャ、オクラなど緑黄色野菜が多くあげられます。緑黄色野菜とは「原則として可食部100ℊ当たりカロテン(カロチン)含有量が600㎍以上のもの」とされています(農林水産省HP抜粋)。そのため、栄養価も高く、抗酸化作用もあり、夏の紫外線や高温などのストレスからカラダを守る働きをしてくれます。

 

●油を使用しない蒸し料理は体脂肪ダウンにも効果的。

蒸し料理は、食材を湯気や水蒸気で加熱して調理した料理です。調理時に油を使用しないため、揚げる、炒めるといった調理方法と比較すると摂取カロリーを抑えられます((例)鶏肉の場合、生と比較すると約10kclマイナス)。体脂肪を落としたい時、あるいは夕食が遅くなる時などにも消化吸収の観点から推奨される調理方法です。

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