スポーツ料理研究家・村野明子さんの思ひでごはん~暑い時期にもってこいのチキンライス。~

2024.07.1

いきなりですが、今回ご紹介したチキンライスの見た目に、おののいている方も多いと思います。

 作っている時はインパクトがあっていいかも! 子供たちが喜んでくれるかな! なんて思っていましたが、改めて写真を見返してみると…『映え』を求めすぎるとこんなトリッキーな見た目になってしまうんだと反省(笑)。アカデミーに所属している選手たちが面白がってくれたのは救いでしたが、大人には通用するのか、しないのか…。家族のテンションによってはエビフライを横に添えても全く問題ないので、ご自由にお楽しみください。

 もっとも、アカデミーの選手たちが喜んでくれたのは、その年代の子たちが10人いたら10人喜ぶと言っても過言ではないほど人気の『チキンライス』だったからかも知れません。

 そういえば、今の子たちは知っているのかわかりませんが、20年強ほど前に、浜田雅功さんの歌う『チキンライス』という歌が流行った時期がありました。クリスマスに七面鳥を食べられるほど裕福な家庭ではなく、いつも親にはチキンライスで誤魔化されていたけれど、大人になって七面鳥を食べてもやっぱりチキンライスの方が好きだったな、というような歌詞だったと記憶しています。

 つまりは、昔も今も、チキンライスは誰からも愛される料理だということ。私の過去の記憶を遡っても、チキンライス、もしくはオムライスは、間違いなく1〜2週間に1回の頻度でランチに出しても喜んでもらえるメニューでした。また、チキンライスの具材として使うチキンやハムはもちろん、一人二つの卵によってアスリートに不可欠なタンパク質がしっかりと摂取できるのも理想的でした。

 アカデミー寮で作っていた時は大所帯ということもあって、あらかじめ大量のチキンライスを作っておいて、食べる直前にトロッとしたオムレツを載せて出すことが多かったのですが、そんなふうに手間をかけずともツヤツヤと輝く黄色の卵のおかげで、あっさりと「うまそう!」って言葉を引き出せたのも嬉しい思い出です。

 

 今回は、オムレツ状にした卵の上にチキンライスを乗せましたが、もちろん、オムライスのように卵を上に乗せてもOKです。またエビフライぶっ刺しバージョンでは、より多くのタンパク質を摂れるようにと『大きいスライスチーズ』を間に敷いていますが、オムレツを作る時に、溶いた卵にあらかじめミックスチーズやモッツアレラとろけるチーズ、とろけるチーズなどを混ぜてしまうのもありだと思います。

 

 ところで、なぜこの夏場にチキンライスをご紹介したかというと、チキンライスは余ってしまったごはんの使い道としても最適なメニューだからです。

 というのも、アカデミーの選手たちにはいつも学校から帰宅して練習に向かう際に『補食』を持たせます。彼らは夕方遅い時間からトレーニングをすることが多く、練習が終わるのはいつも大体20時半から21時くらいの間で…そこから帰宅して夕飯となると、昼食をとってからあまりに時間が空きすぎる=お腹が空きすぎてしまうからです。そんな状態では当然、練習に力が入らないし、集中できないということから、練習前に『補食』を食べる選手もいますし、どこかのタイミングで間食を食べていてあまりお腹が空いていない場合は、練習が終わってすぐに『補食』を口にする選手もいます。後者の場合は、夕食と合わせて運動で使った栄養素を補い、リカバリーを促すことにも繋がります。

 私たちが寮から持たせていた『補食』はおにぎりがほとんどで、いつもクーラーボックスのようなものに入れて持ち運べるようにしていましたが、それでも夏場の暑い時期は、同じようにクーラーボックスなどに入れたとしても暑さで傷んでしまう可能性はゼロではありません。という不安から、その予防策として暑い時期は、いつもより多めに塩を入れたり、ご飯にお酢を混ぜて酢飯にしておにぎりにする機会が多くなります。

 ただ、おにぎりの数を想像して、酢飯を作ったとしても、日によっては何かの理由で練習を休む選手が出てきたり、『補食』を必要としない選手がいたりもして、酢飯が余ってしまうことも多々あります。ですが、その余った酢飯をレンジで温めると、酢飯特有のモワッとした香りが立ってしまい、白ごはんの二次利用としては喜ばれません。決して傷んでいるわけではないのに「なんか、ご飯が変な匂いがする!」とちゃっかり指摘されてしまいます。

 そんな時は、チキンライスやチャーハンを作ってしまえば、酢飯も美味しく有効活用できます。特に前者はケチャップを混ぜてしまうことでより酢の味がうまく消えてくれます。しかも先にも書いた通り、チキンライスやオムライスを嫌いな選手はいないと考えれば…暑い夏にフードロスをなくし、おかまのご飯を最後まで一粒残らず食べ切る上で、力を発揮してくれること間違いなし。お弁当にもいいと思います!

ー村野明子さんの思ひでレシピ

チーズ​​​​​​チキンライス



大きいとろけるスライスを使用し、卵とチキンライスの余熱でとろっとした食感をお楽しみください。見た目にもインパクトのあるチキンライスです。
詳しいレシピはこちら▼
レシピ詳細 | チーズチキンライス | Rokko Butter Co.,Ltd. (qbb.co.jp)

<柴田麗/管理栄養士からのアドバイス>

●アスリートは一般人の約2倍量のタンパク質を!

人間の約15%はタンパク質でできています。筋肉、骨、髪の毛、爪、肌の他ホルモンの材料となっています。特に筋肉は水分を抜いた約80%がタンパク質でできています。そのため筋量を維持するためには大切な栄養素です。トレーニング量の多い方やアスリートは一般人の約2倍量のたんぱく質を摂るように心がけましょう。

 

●成長期には特に補食の活用を!

特に小学生・中学生・高校生年代の成長期は成長に伴い、必要な栄養素等摂取量が増加します。しかし、一度に食べられる量が少ない、動く量が多くて食べる量が追いつかないなどの理由でいくつかの栄養素等が3食では摂り切れない場合もあります。その課題を解決する方法として補食を活用し、間食と同様に3食で摂り切れなかった栄養素を補給するといいでしょう。

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