スポーツ料理研究家・村野明子さんの思ひでごはん~お皿を彩る、名脇役。~

2024.06.1

春先は仕事のためアメリカに行っていたのですが、驚いたのがスーパーの品揃えでした。

 仕事柄、人よりは足繁くスーパーに通っているし、行けば面白い食材がないか、目新しい野菜が売っていないかと店内をウロウロと歩き回るので、大概の食材は知っているつもりでしたが、アメリカほどの大きな国となれば…というか、地域性なのか、陳列された野菜たちはどれも見たことのないものばかり。「どうやって使えばいいの?」「どんな味がするんだろう?」的な食材が盛りだくさんでした。

 しかも、スーパーに来ているお客さんの数に比べて、野菜の数が多すぎる(笑)! 人気も少ない、どことなく閑散としたスーパーに売れ残っちゃうんじゃないかと疑わしくなるくらい、野菜てんこ盛りで陳列されていて、これは果たして新鮮なのか? と不安になったりもしました。しかも、私の仕事は日本的な家庭料理を作ること…。結局、見たことも食べたこともない野菜を使う勇気がなかなか出ず…というか、実際に試してもなかなか日本の味に近づかなかったため、アジア人向けスーパーに行って日本の食材を買って料理をすることがほとんどでした。

 もっとも日本にいるときはどんな食材にもチャレンジする方だと自負しています。農家さんから野菜を直送していただくときに「中身はお任せで!」とお願いすると、『もものすけ』という見た目もネーミングも可愛い赤カブが届いたり、とても香りのいいバジルが届いたりと、季節に応じていろんな野菜が送られてくるので、その味見から始まって、どんな料理にすれば素材の美味しさが際立つのかを考えることも多いです。それが学びになったり、新たなメニューの誕生につながることもあります。

 そんなふうに食材から料理を作ることを覚えると、実は料理のレパートリーも一気に増える気がします。というのも、大抵の人は普段、30種類ほどの食材を使って料理を作ると言われていますが、それは「献立名から食材を選ぶ」ことが理由じゃないかと思うからです。「今日の晩御飯は何にしよう?」となった時に、まずは肉じゃが、生姜焼き、カレーライス、ハヤシライス、麻婆豆腐、ハンバーグ…といった献立を決め、肉じゃがを作るならジャガイモが必要だな、とか、カレーライスを作るならジャガイモ、ニンジン、玉ねぎがいるな、というように。

ですが、その固定概念をなくしてみたら? 例えば麻婆豆腐を作るとなれば、過去に食べた記憶の連鎖から自然と、挽き肉や豆腐、辛い味を想像しがちですが、豚肉と豆腐が冷蔵庫に余っているなら、それを麻婆豆腐にしてもいいはずです。お子さんがいるご家庭は辛い味つけより、鶏ガラだしとごま油で麻婆豆腐にしても美味しくいただけます。そして、そんなふうに食材から料理を作るようになると「この食材に、この味付けは合う!」とか「この合わせは意外なハーモニーが生まれる!」というような発見が増え、それがレパートリーの多さや料理の楽しさにつながっていくような気もします。あとは、食事を一緒に摂る家族か「これが麻婆豆腐なの?!」と疑いの目を向けられても、動揺することなく「そう。これが我が家の麻婆豆腐!」と自信を持って出すのみ。家族の固定概念もどんどん覆していきましょう!

 さて、今回はそんな我が家の食卓にいつも彩りを与えてくれる名脇役『レッドキャベツとひじきのマリネ』を紹介します。前回に続き、作り方が簡単すぎて料理というのが烏滸がましいくらいですが、この一品がお皿に載っているだけで、冴えないお皿の上がどことなく華やかに、家ごはん感しかない食卓がおしゃれカフェに来たような錯覚に陥ります。レッドキャベツを千切りにして、酢、砂糖、コンソメ、オリーブオイルを入れて漬け込むだけ。そこにさっと湯がいたひじきを合わせれば「ピンクと黒」のコントラストがお皿をスタイリッシュな雰囲気にしてくれます。仕上げにキャンディチーズを載せれば可愛さも、美味しさもアップします。

おそらく多くの人たちがお皿に彩りが足りない時、あるいは、お弁当がなんとなく茶色になっちゃった時に、プチトマトやパプリカの赤で誤魔化しがちだと想像しますが、時間がある時にこのマリネを作って冷蔵庫に入れておけば、地味だったお皿が魔法をかけられたようにパッと華やかに。6月は比較的多くレッドキャベツが出回る時期なので、ぜひ作ってみてください。

ちなみに、レッドキャベツを食べたことがない方のために予め伝えておくと、レッドキャベツは普通のキャベツより小ぶりですが肉厚で、固いです。ロールキャベツをレッドキャベツで作ったら華やかなのになーと思うのに、とてもじゃないけど固くて巻けません。それもあって塩漬けにしてしまった方が食べやすいし、野菜らしいシャキシャキした食感も楽しめます。

ちなみに、レッドキャベツが余ったら葉をきれいに千切って、さっとオリーブオイルをかけオーブンで焼き、NCパルメザンパウダーとハーブソルトをささっとふりかけて黒っぽいお皿に載せれば、これもまたとってもオシャレなおつまみに。ホームパーティなどの時には目新しいだけではなく、映えーーーる!

ー村野明子さんの思ひでレシピ

レッドキャベツとひじきのチーズマリネ​​​​​​



レッドキャベツの鮮やかな紫色とチーズの色味をアクセントに、ひじきも一緒にマリネしました。見た目にもおいしい一品です。
詳しいレシピはこちら▼
レシピ詳細 | レッドキャベツとひじきのチーズマリネ | Rokko Butter Co.,Ltd. (qbb.co.jp)

<柴田麗/管理栄養士からのアドバイス>

●レッドキャベツの効能は?

野菜を摂取すると良いとされる主な理由の1つとして、ファイケミカルの摂取があげられます。ファイトケミカルとは植物が持つ、色や香り、辛味、ねばねばなどの成分です。レッドキャベツの赤色はアントシアニンと呼ばれる色素で、抗酸化作用が高く、紫外線など様々なストレスから身を守る働きがあります。

●食欲が減退しがちな暑い夏は酢で食欲増進を。

酢は主成分のアミノ酸をはじめ、多くの種類の有機酸が含まれています。殺菌作用、防腐作用、酸化防止、消臭効果などの働きがあります。同時に、減塩の際の調味料のひとつとしても活用されています。また、唾液や胃液の分泌を促すため、食欲増進にもつながります。食欲が減退しやすい暑い季節取り入れたい調味料のひとつです。

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