スポーツ料理研究家・村野明子さんの思ひでごはん~手軽に作れる、大根餅は知っていますか?~

2024.01.26

 はじめに、令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方、そのご家族や友人の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。震災から1ヶ月が経とうとしている今も寒さ厳しい中、余震が起きるなど予断を許さない状況が続いていて、様々な不安を抱えて過ごされている方も多いとお察しします。また被災地で復興と救済に尽力されている方々に深く敬意を表します。被災地の皆さまの安全と1日も早い復興を願うばかりです。

 

今年のお正月も例年通り、家族とのリラックスした時間を過ごしました。

 ただし、1年の疲れが出たのか、昨年末は仕事が終わった途端に珍しく高熱に苦しめられるというアクシデントもあって、年が明けてもそのダメージが体から抜けず…。本来ならこの時期に再会するはずの友人やかつての寮生たちと会えずじまいに終わったのが心残り。ひたすら体力の回復に努めたことで、仕事始めには体はすっかりシャキンとしていたので唯一、仕事関係の皆さんに迷惑をかけずに済んだのが救いでした。

 

 そんなこんなで、新年もあっという間に1ヶ月が経ち、2024年も恐ろしいスピードで過ぎ去るんじゃないかと今から不安に苛まれている今日この頃ですが、2月といえば! 中国における旧暦のお正月(旧正月)。今年の春節は2月10日で、中国では2月10〜17日までが8連休になるそうです。その際に、収入や成績など生活にまつわる全てのことが豊かになるように願いを託して食べるのが『大根餅』だそうな…。というわけで、今回はその大根餅レシピを紹介しようと思います。

26006252_s.jpg

 これまで大根餅を食べたことがある人はどのくらいいるのでしょうか? 食べたことはなくとも中華街などで見かけたことがある人は多いんじゃないかと思います。私も初めて大根餅を知ったのは神戸に住んでいたとき。友だちと立ち寄った中華街で、友だちが買っているのを見て「何それ?!」となったのがきっかけでした。

 しかも、食パンのような形で売っているそれを家に持ち帰ってスライスし、ゴマ油で焼いてみたら、まぁ、美味しい! 桜エビがたくさん入っていてすごくヘルシーだし、モチっとした食感も私好み。友達から「自分でも簡単に作れるよ」と教えられてチャレンジしてみたら、すごく美味しくできたのもあって虜になりました。

 実際、作り方も実に簡単。皮を剥いた大根をすりおろして水気を絞り、干しエビ、片栗粉、鶏ガラスープの素を入れて混ぜ、丸い形に整えてゴマ油で両面をじっくり、こんがり焼くだけ。それをお好みで酢醤油やポン酢などをつけていただきます。今回は、その大根餅を少しアレンジした大根餅チーズを紹介します。本場・中国の方には邪道だと言われてしまうかもしれませんが、とても美味しくヘルシーなので皆さんにもぜひ作っていただきたい一品です。

 作り方は、先ほどのこんがり焼き上がった大根餅2つで『大きいとろけるスライスチーズ』を挟むだけ。モチっとした食感と、余熱でさらにとろけたスライスチーズが相性抜群です。それを従来のように酢醤油やポン酢で食べるもよし、少し洋風アレンジでケチャップをつけるもよし。前回ご紹介した日本特有の『甘塩っぱい』味つけにもすごくマッチするため、すき焼きのタレにつけても美味しいです。作り置きしておいて子供のおやつや、お酒のおつまみとして楽しむのもいいと思います。

 そんな大根餅を食べながらいつも思い出すのが、かつて寮母をしていたアカデミー寮に住んでいた中国人選手二人のこと。実は彼らが在籍していた時代の私はまだ大根餅を知らず…というか、聞いたことはありましたがこんなにも簡単に作れるとは思わず、彼らには一度も振る舞ったことがありませんでした。その後悔から2月が近づくと「あ〜彼らにも食べさせてあげたいな」と思い出すのかもしれません。

 そんな中国人選手との思い出話を少し。親元を離れて日本での暮らしは寂しいだろうと、ある時、寮長だった主人と足繁く通っていた近所の銭湯に彼らを「一緒に行ってみない?」と誘って一緒に出掛けたことがありました。その時は銭湯後のラーメンをとても美味しそうに食べていたのもあって「連れてきてよかったね」と話していたのですが、翌週また誘ってみたら! なんと目一杯のボディランゲージで拒否されました(笑)。大衆的な銭湯がイメージと違ったのか、そもそもみんなでお風呂に入る習慣が中国にはないのか? 理由はわかりませんが、普段はニコニコしていて可愛らしい彼らがあれだけ全力で「絶対に行きたくない!」とアピールしたのには訳があったはず。私たちもその猛烈な拒否ぶりに驚いて以来、銭湯には誘わなくなりました(笑)。

28821435_s.jpg

 ちなみに、なんだか悪いことしたな、という罪悪感から後日、近所に中国人の方が営む火鍋の店を見つけて誘ってみたら、そこは嬉しそうについてきてくれた二人。しかもそれまで見たことがないくらい食べる、食べる! その食いつきっぷりは永遠に食べ終わらないんじゃないかってくらい豪快で、気持ちがいいものでした。その時に「ああ、やっぱり母国の食べ物が一番口に合うんだな」と改めて思ったことも、私の中で大根餅を作ってあげたかったという後悔に繋がっているのかもしれません。そういえば、彼らが中国に里帰りした際にお土産ですとプレゼントしてくれた香水は今も大事に持っています。二人とも元気に過ごしていることを願うばかりです。

ー村野明子さんの思ひでレシピ

大根餅チーズ

1251.jpg

余熱でとろけるスライスチーズが大根餅に絡まってカルシウムUP。
お子様のおやつやおつまみにもGOOD。

詳しいレシピはこちら▼
レシピ詳細 | 大根餅チーズ | Rokko Butter Co.,Ltd. (qbb.co.jp)

<柴田麗/管理栄養士からのアドバイス>

●胃腸の疲れは脂質を控え、よく噛むことを心がけて!

お正月に暴飲暴食をし、体重の増加や胃腸の疲れを感じている方はこの1月~2月の間に調整すると良いでしょう。増加した体重は仕事や学校が始まり、活動量が増えることでもとに戻る人も多いのではないでしょうか。胃腸が疲れている場合は、しばらく脂質が多い揚げ物や天ぷらなどを控えて。また、いつもより良く噛むことを意識して、消化を助けるようにしましょう。

 

●日本人はカルシウムが不足傾向に。

体内に存在するカルシウムは骨や歯に約99%、血液中に約1%です。日本人はどの年代でもカルシウムが不足傾向であることがわかっています。桜エビは、カルシウムが豊富な食材のひとつですし、他にも牛乳・乳製品、骨ごと食べられる魚、色の濃い野菜などにも含まれているので、様々な食材から摂るように心がけましょう。

 

次へ 前へ

記事検索

ソーシャルメディア

各種ソーシャルメディアでも
最新情報をお届けしています。

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • YouTube