スポーツ料理研究家・村野明子さんの思ひでごはん~いつものすき焼きを洋風に。~

2023.12.26

毎年のことながら、クリスマスが終わると世の中は一気にお正月モードに。


 皆さんも年越し準備のため、忙しくされているのではないでしょうか。そんな私はといえば、何かとバタバタはしているものの、おせち料理の準備をしないこともあってか、特別忙しい感じもなく年末を過ごしながら新年を迎えようとしています。…って話をすると、決まっていろんな方に驚かれますが、私の場合、子供の頃から実家でもお節を作る風習がなかったため、実は未だかつて一度もおせちを作ったことがありません。

 ただし、実家がそうだったように、年始は我が家も来客が増えるため料理はします。それこそ、年末のうちに買い溜めておいた食材でパンパンになった冷蔵庫からそれらを順に引っ張り出しては「さて、今日は何を作るかな」と考えを巡らせ、その日の気分で、あるいは来客の皆さんのリクエストに応じて腕を振う、みたいな。また仕事柄、普段はあまり家族のためだけに料理を作る時間がない私ですが、お正月は家で過ごすことが増えるため、家族のためだけに料理を振る舞うのもこの時期ならでは。時に少し手間暇のかかる煮込み料理などを作ったりしながら、家族とのんびり食べては寝て、ソファーに寝転がって正月番組を見て笑って、また食べて、たまに猫にも遊んでもらってーー。まさに文字通りの寝正月です。きっと、新年も例に漏れず、社会復帰が危ぶまれるほどリラックスした時間を過ごしている自分がいることでしょう(笑)。

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 また、ずいぶん前に寮を巣立った子供たちが連絡をくれて、代わる代わる挨拶に来てくれるのもこの時期の恒例行事です。高校生の時は流行っているドラマの話題や、好きなアーティストの話で持ちきりだった彼らが、いつの間にかお酒が呑めるようになり、仕事の愚痴をこぼすようになり、彼女の自慢話をするようになり、なんならその彼女も連れて遊びに来てくれるようになり…。最近だと結婚して子供の顔まで見せに来てくれる子もいたりして、以前のような寮母と選手という関係性を超えて、もはや息子の成長を見守るような気分になっています(笑)。そう考えると選手としての成長を楽しませてもらっていた時とは違う感覚で彼らの人生を垣間見ることができているのは、とても幸せなことだと感じています。

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 そんな年末年始に作る料理の1つとして、あるいは年末から実家に帰省していたアカデミーの選手たちが1月上旬には寮に戻ってくることを受けてメニューの1つによく登場させていたのが、すき焼きでした。ちょうどお歳暮やお年賀でお米やフルーツ、そして、いつもならなかなか手が出ないような高価なお肉をいただく機会も多く…「いいお肉をいただきました!」「何を食べたい?」「もちろん、すき焼きでしょ!」となるのも理由だったりします。

 といっても寮の場合は大所帯でお肉の消費量も半端ないため、なかなか何度もすき焼きを、とはいきません。ただ、年明けは特にお節料理を食べ飽きたせいか、選手たちから「コッテリしたものが食べたい!」とリクエストされることが多いため、そんな時はよく牛肉をさっと炒めて甘塩っぱく味付けし、牛丼を作って出したりもしていました。毎年、7日には1年間の無病息災を願って、七草粥を作るのも恒例行事の1つでしたが、牛丼の方が明らかに選手の食いつきが良かったのは言うまでもありません。

 余談ですが、すき焼きや牛丼に代表される、砂糖や醤油での『甘塩っぱい』味付けはある意味、日本の食文化ともいえる調味方法。子供の頃から慣れ親しんだ味付けということもあり、それに違和感を覚える日本人はそう多くはないはずです。ですが、実のところ外国人選手にはあまりウケが良くありませんでした(笑)。例えばブラジル選手は「生まれてこの方、食材そのもののシンプルな甘味以外、味わったことがない」という人も多く、お肉を焼くにしても塩胡椒だけのシンプルな味付けを好むため、「料理に砂糖を使うなんて、信じられない!」と驚かれたこともありました。ブラジルの家庭の味として親しまれる『フェジョン』という豆料理があると知って、見た目的にはかなり似ているお善哉を張り切って作ったら、さっきまでパッと花が咲いたような明るい顔を見せてくれたのに、口に入れた途端、ものすっごい渋い顔をされたのもいい思い出です(笑)。

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 と、話が脱線しそうなので早めに戻します。今回のレシピでは、そんなすき焼きをアレンジした『甘辛チーズフォンデュ』を作りました。格好良く、横文字を並べてみましたが、要するにすき焼きです(笑)。ただし、いつもと少し違う味を楽しめるように、すき焼きをくゆらせるのは卵ではなく、チーズフォンデュにしてみました。温めたフォンデュに生卵の黄身の部分をドッキングさせたつけだれにお肉をくゆらせれば『甘塩っぱい』にチーズも合わさって、いつもとは違う洋風なすき焼きを楽しめます。最初はいつものすき焼きを食べて、途中から『味変』を、というのもアリだと思います。ぜひ試してみてください。

ー村野明子さんの思ひでレシピ

甘辛チーズフォンデュ

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普段食べる牛丼やすき焼きに、気軽に使えるフォンデュチーズを加えてコクと
うまみをUP。

詳しいレシピはこちら▼
レシピ詳細 | 甘辛チーズフォンデュ | Rokko Butter Co.,Ltd. (qbb.co.jp)

<柴田麗/管理栄養士からのアドバイス>

●おせち料理も食べ過ぎ注意!

お正月のおせち料理には、にしん、海老、カズノコ、卵など様々な食材が使われています。そのため、様々な栄養素を摂ることができます。また保存がきく食べ物に仕上げるために味付けが通常よりも濃い傾向になりがちなため、塩分の摂りすぎには注意しましょう。

 

●1つの肉、部位に偏らないように。

牛肉の主な栄養素はたんぱく質です。部位によって脂肪の量が異なり、ももやヒレなどは高たんぱく質、低脂肪です。また赤身には鉄分が多く含まれているため、貧血予防の食材としても活用できます。牛肉に限らず、豚や鶏などの肉はそれぞれに栄養価の特徴があるので1つの肉、部位に偏ることがないようにしましょう。

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